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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

3度目以上の「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」

何だかんだとソフトを買わないまま、確か見返すのは数年ぶり。劇場公開はもう10年も前のことだったんだ。国境部の乾いた、砂混じりの風景に妙な親和性を示したバリー・ペッパーはその後、コーエン兄弟「トゥルー・グリット」でも乾いた南部で馬に乗る悪漢を…

もふもふ系老人への偏愛

頭髪と髭(特に頬髭と顎髭)がもさーっとしていて、さらにもふもふした何かを被っている老人が好きだ。ものすごく好きだ。一方でサンタクロースはあまり好きじゃないけど原因はあの微妙な商業的清潔感にあるのではないかと踏んでいる。 まず思い浮かぶのは、…

思い出のための凡作コメディ『Absolutely Anything』(ネタバレあり)

英国で8月14日に封切られた映画『Absolutely Anything』を観た。 Monty Pythonのテリー・ジョーンズが共同脚本&監督、主演がサイモン・ペグのSFコメディで、脇にはエディ・イザード、声優としてパイソンズの存命メンバー全員+故ロビン・ウィリアムズ出…

憧れのアメリカン・モーテル

2年近く前にアメリカ合衆国を訪れた際、現地の友人と3人でフロリダに行った。車を借りて、友人が順番に運転してくれた。ハイウェイといっても日本の高速道路をイメージしているとずいぶん趣が違って、場所によっては果物の直売所が出ているのには驚いた。 …

The Hobbit 決戦のゆくえ|ピーター・ジャクソン

The Hobbit: The Battle of the Five Armies Official ... 「トリロジーでは真ん中の作品が一番自由に作れるから一番面白い」と書いたことがある。例えば「ロード・オブ・ザ・リング(LotR)」では「二つの塔」が一番好きだし、ノーラン・バットマンではもち…

Big Easy Express|エメロット・マロイ

'Play country, across country.' Mumford & Sons、Edward Sharpe & The Magnestic Zeros、Old Crow Medicine Showという、カントリー/フォーク要素の強い3つのバンドが列車でアメリカ西部を北から南に下りながらライブを繰り広げるドキュメンタリー。車内…

それで、まあそんな感じで

ちょっと音楽に詳しい友達はデスキャブなんて鼻で笑っていたけれども、わたしは青臭いインディーロックがいつだって大好きで、本当安っぽいくらい青臭いよねと呆れながら、これからもきっとずっとこういう音から離れられないままでいるんだろう。今も、数ヶ…

さようなら、ロビン・ウィリアムズ

あの頃、わたしの住む町で子どもたちにとって映画館は「ハレの日」のものだった。ビデオレンタルは旧作でも一泊400円くらいして、しかも品揃えは貧弱。そんな幼少時代を過ごし、中学生になった頃から、ときどき「街」にある映画館に出かけるようになった。も…

He was uncool. And god, he was just so fucking beautiful.

米俳優フィリップ・シーモア・ホフマンが亡くなった。享年46歳。ニューヨークの自宅バスルームの床で、腕に注射針が刺さったまま倒れているところを発見された。近くにはヘロイン入りの封筒が落ちていたという。 若い頃にドラッグとアルコール依存に苦しんだ…

わたしは神様を信じている

子どもの頃、いろんな宗教にいろんな神様がいるのは、全部本当は同じ神様で、それぞれ、人々の文化や風習にあわせて違う格好して出てきてるだけなんだろうと思ってた。 今もその考えはそう大きくは変わっていなくて、わたしは宗教を信じてはいないけど、神様…

ホビット 思いがけない冒険|ピーター・ジャクソン

映画『ホビット』を観てきた。3Dなので、大きな画面で上映しているうちに観たほうがいい。何より若かりし日のビルボ・バギンズを演じるのはマーティン・フリーマン。一日も早く観たいに決まってる。原作『ホビットの冒険』自体、『指輪物語』と比較して子…

ダークナイト・ライジング|クリストファー・ノーラン

こういうテーマの作品をシリーズ化して、クオリティと緊張感、一貫性を保ったまま続けるのはやはり3本が限界なんだろうな。惰性にならないぎりぎりのところできれいにまとめあげられていて、3部作として観たときにすごくきれいな映画になっていると思った…

お茶の間のブロックバスター

週末はたいてい映画館に足を運ぶ。DVDを借りれば数百円。なのに映画館に行きたくなる。わたしには集中力がないので、家でDVDを観ていると、途中で立って飲み物を取りに行ったり、洗濯機がピーと鳴ったら映画を一時停止して洗濯物を干してみたり、落ち着かな…

サヴァイヴィング・ライフ 夢は第二の人生|ヤン・シュヴァンクマイエル

人は夢を見る。必ず夢を見る。夢の中で過去の後悔と向き合い、救われるならば。救いを得たまま夢の中で生き続けたいだろうか、それとも救われた心だけを持って現実の世界に戻ってゆくのだろうか。待ち望んでいたヤン・シュヴァンクマイエルの新作長編は、「…

アンチクライスト|ラース・フォン・トリアー

カンヌで物議をかもしたのが2009年。日本公開は無理かと諦めていたので、上映決定と聞いたときには嬉しかった。過激だとの評判どおり、もろにひっかかってしまう箇所が多く、至る所に修正が入っているのは仕方ないけど残念。話の筋に影響はなくても、あのも…

ソウル・キッチン|ファティ・アキン

ハンブルグの郊外でぼろぼろのダイナー「ソウル・キッチン」を営むジノスの日常はしょっぱなからふるわない。店のメニューは冷凍品ばかりで、税金は滞納中。育ちもよく美人でキャリア志向の恋人は、上海に赴任してしまう。そこに、仮出所中の兄が「俺を雇っ…

冷たい熱帯魚|園子温

神楽坂恵演じる妙子がミニスカートのスーツでスーパーマーケットを大股で歩く。怒りといらだちに満ちた乱暴な動作で買い物かごに冷凍食品を投げ込んでゆく姿だけで、「あ、これ面白いんだろうな」と思ってしまう。冒頭でぐっと引きずりこまれ、そこから息つ…

ソーシャル・ネットワーク|デヴィッド・フィンチャー

そもそもこういった映画が作られるには、まだ早いんじゃないかと思っている。物事はなんだって多かれ少なかれ歴史の審判を受ける。ある程度総括的に、客観的な視点を持った上で作られるのが事実をもとにした物語であり(ドキュメンタリーなんかはまた別)、F…

ヤコブへの手紙|クラウス・ハロ

アキ・カウリスマキの描く不景気で彩度の低い町並みと仏頂面の人々、それがフィンランド映画に抱くイメージのほとんどすべてだった。映画は風景や人々の姿が舞台である国の印象そのものになってしまうくらい影響力の強いものだが、そういう意味では、「ヤコ…

愛する人|ロドリゴ・ガルシア

『パッセンジャーズ』を飛ばしたので、『美しい人』以来のロドリゴ・ガルシア。家族や恋人におけるさまざまな愛や葛藤を描いた短編9本を並べた『美しい人(Nine Lives)』から今回の『愛する人(Mother and Child)』、内容的にはそのまま今回の作品を「the 10th…

ウッドストックがやってくる!|アン・リー

「監督主義!」と銘打って、ヒューマントラストシネマ渋谷としてはちょっと珍しい顔ぶれを上映してくれる素敵なキャンペーンの第一弾はアン・リーの新作。タイトル通り、ウッドストック開催を描いた作品で、主人公であるエリオット(実在の人物)が書いた書…

インセプション|クリストファー・ノーラン

いまさらながら「インセプション」が早稲田松竹でかかっていたので観てきた。戦隊者的な、キャラの立ったチームでのクライムアクションで、美術の美しさあいまってとても楽しい素敵な映画だった。(予告編から勝手に、企業スパイのディカプリオが活躍する0…

今年観た映画

映画祭、名画座、特集上映など含めて、とりあえず記録を。自分としてはここ数年でいちばんよく観た年なのだけど、それでも評判のいい作品をかなりこぼしているようで残念。来年はコーエン兄弟が怒濤の2本連続公開だし、他にも楽しみな作品がいろいろとあっ…

ソフィアの夜明け|カメン・カレフ

ブルガリア映画ってそういえば、観るのははじめてかもしれない。予告編ではあまり興味を惹かれなかったのだけども、評判が良さそうだったので映画館に足を運んだ。映画そのものは、ドラッグ依存から立ち直ろうとしながら今度はアルコールにすがってしまう木…

ペルシャ猫を誰も知らない|バフマン・ゴバティ

先週末に知人から「イランのインディー・ミュージックを描いた面白い映画があるよ」と勧められたのがこれ。「ペルシャ猫」は、文化統制が厳しい中で当局の監視を逃れて自由な音楽を求めるミュージシャン達の比喩。思い描いていた以上に素晴らしく、苦しく、…

ベンダ・ビリリ!|ルノー・バレ&フローラン・ドラテュライ

コンゴのストリート・バンド「スタッフ・ベンダ・ビリリ」が見いだされ、世界で成功を収めるまでを追ったドキュメンタリー映画。ひっそりとローカルに奏でられていた音楽が、欧州の映画作家によって世界的な名声を得てゆく、というパターンからはブエナ・ビ…

僕のエリ 200歳の少女|トーマス・アルフレッドソン(と、その原作小説『モールス』)

スウェーデン映画については、ベルイマンからロイ・アンダーソン、ルーカス・ムーディソンなど、強い印象を持つ監督が多い。そのどれもがアートムービー的であるなか「ミレニアム」ではスウェーデンにもこんなエンタメ映画があるんだ、と驚きもした。そんな…

ザ・ロードふたたび

映画「ザ・ロード」を初日に観てきましたが感想はまた改めて。「少年の成長」よりは「家族」というものにフォーカスしていたという意味で、原作とはイメージの違う部分は当然あったけれどなかなかよくできていたと思う。「善き者」「火を運ぶ」の重要性と意…

闇の列車、光の旅|キャリー・ジョージ・フクナガ

ホンジュラスで暮らす少女サイラは、アメリカから強制送還されてきた父と久々に再会する。一緒にアメリカへ行き、向こうの家族と一緒に暮らそうとの提案に複雑な思いのまま、父と叔父と3人で、グアテマラ、メキシコを超えてアメリカ入国を試みることになる…

クレイジー・ハート|スコット・クーパー

落ちぶれた中年カントリーミュージシャンの再生の物語、なんて聞いただけで興味がでてきてしまう。しかも、主人公を演じるのがジェフ・ブリッジスで、音楽を手がけるのはT=ボーン・バーネットとくれば、いてもたってもいられない。あの音楽と風景があればそ…

ウルフマン|ジョー・ジョンストン

「狼男」のリメイクであることは観終わってから知った。映画の出来の善し悪しとは別の次元で本当に面白くて、終始笑いが止まらない映画だった。なんで全力でこんなちぐはぐなことをやってしまうんだろう。これは笑わせたくてやってるんだよね、という場面目…

月に囚われた男|ダンカン・ジョーンズ

せっかく映画の日が休日なので、通常料金だったら観に行かなかったであろう映画をはしごしてみた。で、朝一番に出かけたのは恵比寿。同じガーデンシネマで上映されている「ウディ・アレンの夢と犯罪」と悩んだのだけども、SFな気分なのでこちらを選んだ。デ…

ふたつの「プレシャス」

とても楽しみにしていたので、映画「プレシャス」は公開初日にシネマライズで観た。読み書きもできない黒人少女プレシャスは16歳なのに中学生で、しかもその中学校すら退学になってしまう。理由は「2人目の子どもを妊娠しているから」。12歳のときに産んだ…

オーケストラ!|ラデュ・ミヘイレアニュ

そもそもはノーマークだった映画。「プレシャス」を観に行ったシネマライズで予告編を観て「これは!」と慌てて帰りの足でbunkamuraへ行ったところが満席。帰宅してインターネットで調べてみると、どうやら上映館が少ないこともあって満席立見続出になってい…

ざわざわしてばかり

なかなかパソコンに向かってゆっくり作業する時間や、心の余裕がない。年末からこっち写真も溜まる一方で、整理もできない。最近は撮ることすらできずにいる。これは昨年末撮ったもの。チンダル現象なのだかなんだか、見慣れた国際フォーラムが幻想的でとて…

ハート・ロッカー|キャスリン・ピグロー

日曜日に観に行ったところ、「アバター」との賞レースが取りざたされているせいか、この手の作品としては意外なくらいたくさんお客さんが入っていた。明日からはもっと賑わうんだろうな。わたしが観に行っていった日ですら、立見・難民続出だったので、上映…

ルド and クルシ|カルロス・キュアロン

メキシコ映画界を牽引する、キュアロン兄弟、ギレルモ・デル・トロ、アレハンドロ・ゴンザレス・イリャリトゥが制作に名を連ね、メキシコを代表する若手俳優ガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナが主演。まさに、ここ10年くらいのメキシコ映画の一…

サベイランス|ジェニファー・リンチ

デイヴィッド・リンチの娘ジェニファー・リンチの監督2作目。全作「ボクシング・ヘレナ」は観ていないのだけど、医師が好きな女性の四肢を切断し監禁、女性も次第にまんざらではなくなっていく……という14年前という時代を考慮しても社会的に問題視されや…

抱擁のかけら|ペドロ・アルモドバル

観るたびに期待を裏切らないアルモドバル。女性讃歌3部作も観るたびに「これが最高傑作かも」と思っていて、でもこれも負けず劣らずいい作品でした。ペネロペはきれいで演技も良い、すばらしい女優さんだけど、アルモドバル映画での輝きはひと際。その中で…

インビクタス|クリント・イーストウッド

1995年の南アフリカラグビーワールドカップを題材に、スポーツを通じて国をひとつにしようとする当時の大統領ネルソン・マンデラと、マンデラに共感しチームを優勝に導こうとする南アナショナルチームキャプテン、フランソワ・ピナールの姿が中心に描かれて…

フローズン・リバー|コートニー・ハント

クリスマスを前に、新居の購入費用ごと夫に蒸発され途方に暮れる白人女性レミ。彼女は老朽化してこれ以上住み続けることのできないトレーラーハウスで、ふたりの息子と暮らしている。1ドルショップのパートである彼女の腕ひとつで生活の見通しは立たない。…

Dr.パルナサスの鏡|テリー・ギリアム

撮影なかばで主演のヒース・レジャーが亡くなってしまい、あやうくお蔵入りになるところだったこの作品。不謹慎だけども、テリー・ギリアムというのも本当にトラブルに愛されている監督で、作品を思ったように撮れなかったり公開できなかったりすることが多…

アバター|ジェームズ・キャメロン

公開がはじまってずいぶん経つのにとても混んでいて、予約するのが遅かったせいもあるんだけど、この日鑑賞したのはなんと最前の端っこという3D映画を観るには最悪のポイント。しかもダブルヘッダーだったせいで3Dメガネを受け取そこね、皆がメガネかけは…

かいじゅうたちのいるところ|スパイク・ジョーンズ

キム・ギドクのDVDを2本続けて観て、お酒も入って神経が高ぶった状態でレイトショー。観る前から自分がこの手の話に弱いことはわかっていたけど、予想以上の浸透力と破壊力で、心臓も涙腺もぐらぐらしっぱなしだった。名作絵本としてしられる原作は割合にシ…

(500)日のサマー|マーク・ウェブ

ヘッドフォンで音楽を聴きながらエレベーターに乗っていると、隣に立っているキュートな女の子が「わたしもスミス好き」と話しかけてくる。ここで他のどのバンドでもなくスミスを選んでいることにより、この映画はある種の男女にとって特別な「わたしのため…

2009年の映画を振り返る

昨年に引き続き参加させていただきます、空中キャンプさん(id:zoot32)の企画です→http://d.hatena.ne.jp/zoot32/20091217。ちなみに去年のわたしの回答はこれ。 現時点で、新作に限っていえば、映画館で観た作品は29本。わたしにしてはやや多め。気になった…

マラドーナ|エミール・クストリッツァ

クストリッツァが撮ったマラドーナのドキュメント、と聞いたときにはまったくイメージがわかなかった。クストリッツァが元々はサッカー選手を目指していたということも知らなかったし、ボスニア出身の彼があえてアルゼンチンのマラドーナに注視するのもよく…

倫敦から来た男|タル・ベーラ

予告編を観てとても楽しみにしていた。シムノンの短編小説の映画化ということで、シムノン=メグレ警部という固定観念を持つわたしは、がっつり推理要素のあるサスペンスをイメージしていたのだけど、あまり動きのない、非常に静謐で内省的なノワールだった…

カティンの森|アンジェイ・ワイダ

「灰とダイヤモンド」のワイダ監督の作品。「カティンの森事件」については学生時代に習った記憶はなく、個人的に関心を持って、ナチスのあれこれを読んでいるうちに行き当たったんだけど、日本語書籍であまり詳しいものに巡りあえずにいたので、フィクショ…

La Ley de Herodes|Luis Estrada

1999年のメキシコ映画(英語名は「Herod`s Law」)で、2000年のサンダンスでイスパノアメリカ部門での受賞をした作品だとのこと。日本では未公開、DVDも未発売。こういうのは誰かの案内がないと絶対に観ることがないので、嬉しい。田舎の街を舞台にした政治…