メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

ドライビング・ミス・デイジー

NHKにチャンネルを合わせると、広い部屋に佇む初老の男の後ろ姿。何かのドキュメントかな、横目でちらりと見遣り、視線をパソコンのディスプレイに戻した。しかし、耳に入ってくる言葉には聞き覚えがある。画面の中の男がぶつぶつ呟いている言葉は、大好きな映画の台詞だ。振り返ると画面の中には仲代達矢がいた。

ドライビング・ミス・デイジー」は、アカデミー4部門受賞、とりわけジェシカ・タンディの80歳での主演女優賞受賞で有名な作品だ。内容は、頑固なユダヤ人老女と、彼女のために雇われた黒人運転手(演じるのはモーガン・フリーマン)の友情物語。ユーモラスで軽快な流れが一環しているものの、ちくちくとユダヤ人差別、黒人差別、宗教対立、老いの問題などがちりばめられていて、本当に、よくできた映画。

その作品を無名塾が今年の公演の演目にした。「にんげんドキュメント」では、その舞台「ドライビング・ミス・デイジー」稽古の様子と、亡くなった妻の影に寄り添うようにしながらそっと老いの季節を生きる日々の姿、ふたつの側面から仲代達矢という人間を映す。

べったりと背中に寂しさを貼付けたまま、それでも生きる人間の、失われたものへの深い愛情、止むことない演技への情熱。もしかして「永遠」という言葉がふさわしいのかもしれない。

こういうのは、胸の奥がむずむずする。わたしはまだ「永遠」とか「ずっと」とか、そんなものがあるのだということを信じられない。本当に「永遠」の「絶対的な」気持ちなんてものが、存在するのだろうか。失ってしまったものだからこそ、「永遠」になるんだろうか。

ドライビングMissデイジー [DVD]

ドライビングMissデイジー [DVD]