メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

東京飄然|町田康

東京飄然

東京飄然

とぎれとぎれに書店で立ち読みをしていたのだけれど、ようやく購入に至り、腰を据えて読む。このひと、「耳そぎ饅頭」からなにひとつ変わってないじゃん、というのが正直な感想。
頑固で卑屈で偏屈で、そのくせ、そういう自分に焦り、変革への小さな努力をしてみては、諦め、開き直って結局もとの場所へ戻ってくる。やっていることも同じならば、その過程でたどる思考パターンまでまるきり同じ。

ただそれを「ワンパターン」「マンネリ」ととるかと言えば、否、これはひとつの様式美なのだと思う。例えば、テレビの時代劇のような、予定調和の様式美。まあ、エッセイの起承転結に様式美を持ち込むのもおかしな話かもしれないけれど。

それを退屈たらしめないのは、ひとえに町田康の観察眼と、独特かつ天才的な言語感覚。彼の歪んだレンズは、観察した人やものを、不思議なかたちに転化して描写する。書き留められる奇妙なひとたちやできごとは、わたしならば何気なく通り過ぎてしまうものなのかもしれない。