メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

ある子ども|ダルデンヌ兄弟

おおむねどの評でも「子どもが子どもを作ってしまったことによる悲劇」というまとめかたをされているこの映画、ストーリーはまさしくそのまま。若い恋人同士のあいだに子どもが生まれたところから話ははじまる。少女は出産により子どもに愛着を感じはじめるが、盗品売買により小銭を得、河原の小屋で寝泊まりする少年に父親としての自覚はまるでない。「金を出して子どもを買ってくれる人がいる」という話に乗り、少女に相談なく、赤ん坊を売り飛ばしてしまう。値段は1000ユーロ。

序盤、少年と少女は、まさしく子どもだ。足を引っかけ相手を転ばせる、石を投げて驚かせる、炭酸飲料の缶を振って中身を相手にぶちまける、そんなくだらない遊びに夢中になって、赤ん坊を放り出してもつれ合い、笑い転げる。しかし、少年が赤ん坊を売り飛ばしてからは、一気にふたりのあいだに温度差ができる。出産以降徐々に母性に目覚めてきた少女は、赤ん坊を売った少年を激しく責め、拒絶する。一方、少女の許しを得るために赤ん坊を取り戻すも、後先考えない行動でどんどん泥沼にはまっていく少年はいつまでも子どものままだ。

タイトルの「ある子ども」は、赤ん坊のことではなく、主人公の少年のことなのだと、観ているうちに誰もが気づく、そして、「子どものまま親になってしまう悲劇」が、少年の母親=少年から、少年=赤ん坊、に繰り返されていることにも、映画中盤で気づく。

映画の最後に少年が流す涙は、やはり、父親としての涙ではなく子どもの涙であるように思えた。一方、少女の流す涙は、赤ん坊に対して、そして少年に対しても、母性の涙だったのかもしれない。

ある子供 [DVD]

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