メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

19歳の一時期

毎日radioheadGRAPEVINEばかり聴き倒していた。あの頃は、音楽に救われていたのか打ちのめされていたのか、今となっては判別がつかない。とにかくメロウなものに取り憑かれていた。

最初から田中和将というひとの歌には一種の完成された色気があった。その色気は、力強い声質からはちぐはぐにも思える脆さや危うさ、少年のようなナイーブさに裏打ちされていたような気がする。

GRAPEVINEは、「Here」というアルバムで、大きな転機を迎える。それまでにはない、許しと覚悟に満ちたアルバムだった。今聴き返すととてもいい作品なのだけど、当時のわたしにとって、音楽は自分の弱さや不安を映す鏡でしかなかったから、思わぬ開き直りを見せたGRAPEVINE(というか田中さん)に以前ほどの共感や魅力を感じなくなっていった。UKっぽい叙情ロックのサウンド自体は好きなので、イベントやフェスで偶然観ると、相変わらず上手いな、いい曲書くなと思うものの、音源を聞くことはなくなった。

この年末に、幕張の一番大きなステージで観たGRAPEVINEは圧倒的だった。大会場がこんなに似合うなんて思っていなかったし、ここまでの風格を身につけているとも思っていなかった。演奏、歌声、立ち姿どれもが堂々と力強く、何者にも媚びない孤高の姿はかつてとは違う色気を放っていた。いつの間にこんなになっちゃったんだろう。傷を舐めるように聴くのではなく、もっと開かれた、解き放たれたような、そんな気分で立ち尽くして、呆然と、全身で音を受ける感じ。

イデアの水槽

イデアの水槽

d e racin e

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