メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

グッバイ・レーニン

グッバイ、レーニン! [DVD]

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主人公アレックスは東ドイツの青年。父親は、彼が幼い頃家族を置いて西ドイツへ亡命し、その反動で母親は社会主義運動に熱中するようになる。しかし、次第に資本主義の波が押し寄せ東ドイツの治安は悪化、ある日デモに巻き込まれた母親は頭を強く打ち昏睡状態に陥る。めまぐるしく世界が動き、ベルリンの壁は崩壊し、経済自由化に通貨統合。統一ドイツチームがワールドカップを勝ち進むなか、突然、母親が意識を取り戻す。しかし後遺症は重く、医師は「精神に大きなショックを与えれば命の保証はない」と言う。熱心な社会主義者である母親に今の東ドイツを見せれば命が危ないと考え、アレックスは、母親の周囲に「かつての東ドイツ」の幻影を張り巡らせようとする。

昔観た、フルーツ・チャンの「メイド・イン・ホンコン」「花火降る夏」を思い出す。中国に返還された香港市民のアイデンティティーが翻弄される様子を描いた映画だった。

東西ドイツに香港と中国本土、舞台は違うにしろ、どちらもイデオロギーや環境の変化についていけない人物を滑稽に描いたシーンが多く、笑いを誘いはするのだけれど、その笑いはとても悲しい。そして、既存のものを否定し、捨て去り、過剰なまでの熱心さで新しいものを受け入れようとする態度だって、同じくらい滑稽だ。

変化と向き合うことはとても難しい。

政治の問題でなくとも同じことで、どうしても。古いものと新しいもののどちらかを否定することで、心のバランスを取ろうとしてしまう。寂しいことだとわかっていても、すべてをそのままに受容することはなかなかできそうにない。