メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

原民喜を読み返す、夏だから

正直、わたしは、小説よりむしろ「原民喜」という人間に対して深い関心と愛着を持っている。彼の小説は、彼の人間性を裏付けるためのもの……とまで言ってしまうとさすがに言葉がすぎるけれど。きっかけは、遠藤周作の書いた「夏の花」のあとがき。逝ってしまった友に捧げる文章。これが、今まで私が読んだ遠藤周作の随筆どれよりもすばらしかった。

原民喜は、ひどく臆病で極端な人見知りで、失語に等しいほど寡黙だったらしい。病に伏した彼の妻は「あなたみたいな人をひとり残してはゆけない」と繰り返したのだという。

夏の花・心願の国 (新潮文庫)

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