メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

愛|ウラジミール・ソローキン

愛 (文学の冒険シリーズ)

愛 (文学の冒険シリーズ)

昨日に続いてソローキンの、邦訳されているもう一冊。こちらは短編集。

唐突なストーリーの切断や、意味不明なフレーズの挿入/繰り返しなど、やはり、構成や文体に強い癖がある。「ロマン」は長編だったので、牧歌的な描写で押し殺し、押し殺した上での崩壊に、もの凄いエネルギーを感じたけれど、短編だとそこまでの緊張感やカタストロフはない。ごくごく真っ当なやり取りをしている場面が、前触れもなく、突如として狂騒にのみこまれ、訳の分からないままオチ。なんだかコントのネタみたいなパターンだなあと思ってみたり。

当然わたしは訳文でしか読めないわけだけれど、こういうテキストのありかた自体が意味を持つ小説に対して、「ロマン」にしろこの短編集にしろ、とてもうまいこと日本語を当てはめているのではないかと思う。針の飛ぶレコードのような、スクラッチによる繰り返しのような、壊れた文体は、小説というよりはむしろ音楽的だ。ドラムンベースやポストロックの感じ。
そして印象に残るのはロシアの森のこと。