メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

ガルシア=マルケス2冊

コレラの時代の愛

コレラの時代の愛

わが悲しき娼婦たちの思い出 (Obra de Garc〓a M〓rquez (2004))

わが悲しき娼婦たちの思い出 (Obra de Garc〓a M〓rquez (2004))

ガルシア・マルケス全小説集」として、他社で文庫になっている「エレンディラ」や(多分絶版の)「族長の秋」や、しばらく前に新訳だか新装だかで出し直したばかりの「百年の孤独」も衣替えして収録されるとのこと。あざといなあと思いつつなかなか装丁が良いので揃えてしまいそう。
どちらも「愛」と「老い」を扱った小説で、解説で木村栄一さんが述べている、「少女の救済」のイメージからしても、双子のような作品だ。読むなら絶対「コレラ」「娼婦」の順番なのに、この全集、第1回配本が最新小説の「わが悲しき〜」で、2回配本に85年作の「コレラの時代〜」だったりする。わけわからない。
全体的には、「コレラ」の方が緻密で読み応えもあり、少ない登場人物で枚数も少ない「娼婦」はさらりと軽い印象。けれども、「娼婦」のこのくだりは鳥肌が立った。90歳の誕生日に処女を買うことにした男。娼館から戻り、欲望に任せて何度か関係を持ったことがある家政婦に話しかける。

私は人を愛したことがないんだ、と言うと、彼女はすかさず、私はありますよ、と答え返してきた。彼女は仕事の手を休めずに、私は二十二年間あなたのことを思って泣きました、と言った。私は心臓が止まりそうになった。

彼女がいなくなったあと、男は寝室に飾られている花と、「ひゃくさいまで長生きされますように」というカードに気づくのだ。