メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

呼吸|リリィ・シュシュ

呼吸

呼吸

作品を観たこともないくせに、ずいぶん長いあいだ、岩井俊二という人が苦手だった。

多分、わたしと同じような感覚を、彼と、彼の映画に対して抱いている人はとても多い。そして、その苦手意識もまた、同じような理由によるものなのだろう。……にも関わらず、映画「リリイ・シュシュのすべて」をはじめてレンタルしたとき、わたしは一週間ずっと、この映画を繰り返し繰り返し見続けた。

あれだけの苦手意識を持っていた監督の映画を観るきっかけとなったひとは、片思いの相手が暴行されるのに、何もできず、泣きじゃくる主人公に自らを重ねていたのだという。わたしはそれよりも、好きな女の子を傷つけてしまう星野が、決して自ら触れることなく傷つける星野が、ただただ悲しかった。
その後、「ラブレター」や「花とアリス」を観て、岩井監督は中高生の繊細な気持ちを、どうしてこうも鮮明に覚えているのかと、驚いたり嫉妬したりして、いつの間にか苦手意識は薄らいでいた。

同じように、わたしはずっと女性ボーカルというものを好んでは聴かなかった。しかしここ数年のあいだに素敵な出会いがたくさんあって、気づけば女の人が歌うCDがずいぶん部屋に増えている。きっかけのひとつは、やっぱりこれかもしれないなあ。salyuは好きだけど、今でも一番聴くのはリリイとしてのsalyuだ。