メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

河合先生さようなら

倒れられたと聞いて以来、気になってはいたのだけれど、河合隼雄先生が亡くなったとのこと。
思春期にありがちなレベルで心理学に興味を持って(結局それ以上のレベルを目指すことはなかった)最初に手にしたのは河合先生の著書だった。難しいことを難しく話すことは容易い、難しいことを易しく言い換えることこそ難しい、そういった意味合いでは、河合先生は本当に優れた学者であったのだろうし、文筆家であったのだと思う。

中学生の頃はじめて村上春樹の「ノルウェイの森」を読んだ。そのときは面白さも、はかなさも、美しさも哀しさも、理解できなかった。退屈な小説だと思った。それきり春樹を読むことなしに何年も経った。河合さんが著作の中で「めくらやなぎと眠る女」に言及していたのをきっかけに、再び村上春樹の小説を手に取った。思春期をくぐりぬけ、いつのまにか村上作品が自然と染み込むようになっていた。
いろんなふうに、いろんなものと出会ってゆく。河合さんの「おはなし」への造詣の深さは、わたしの世界をもずいぶん広げてくれたように思う。