メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

秘密のはなし

秘密を打ち明けられてしまった。
ので、
わたしも秘密を打ち明けた。

意外になくらいに似たもの同士だったので、笑い転げながら、今度ふたりで飲みに行こうねと約束をした。

帰り際、「ユニオンだよ」と囁いて彼女は笑った。抱えているのは明るい秘密ではないのに、少し楽しいような心強いような気持ちになる。ここ最近のわたしは、明日が暮れるのが怖くて仕方なかったのだけれど、なんとなく、大丈夫なのだと思えてくる。

言葉にするほどでもないささやかなサインを送ったり受け止めたりして、上手に他人との距離をとって生きてゆく。わたしだけじゃなく誰だってそうだ。相手が自分に対して、好ましい感情を持っているかそうでないかは、なんとなくわかる。

彼女がわたしに好意を持っていて、わたしともう少し仲良くしたいと思ってくれているであろうことには、ずいぶん前から気づいていた。だけどもわたしは臆病だし面倒くさがりなので、一歩も踏み出さずにいた。きっと、いつかはこの人に心を許してしまうんだろうな、と思いながら数ヶ月間過ごしてきた。そして今日、自分の勘が見当違いなものではなかったのだと知った。

でもたまに、コンパスが狂ってしまうことがある。

普通なら、意識しなくとも簡単にわかることなのに、特定のひとりに対して「このひとがわたしを好きなのか嫌いなのか」「この人はわたしに近づきたいのか離れたいのか」そういったことがまったくわからなくなる。わからないから、どうしたらいいのかわからなくて、自分もでたらめな行動、言動をとってしまう。

恋をしたときのこと。