メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

いなくなった人の話をする

仲良しのMちゃんが泊まりにきていた。

ふたりでゆっくり、は久しぶり。そういえば話したいことが山積みになっていたんだった。多分お互いに。やりきれないようなことが多かったけど、たくさんいろんなことを話した。

つい最近亡くした身近な人のことを話した。とても衝撃的で、とても辛い出来事だった。Mちゃんは一時期毎日彼と顔を合わせていた。記憶は膨大だ。

Mちゃんはおかしいくらいに些細なことばかり思い出す。彼が、カラオケで奇妙な歌ばかり歌っていたこと。やたらと筆圧が強くてゴリゴリと書類をチェックするので、朱色の色鉛筆がすぐにすり減ってしまったこと。スポーツ新聞ばかり読んでいたこと。とても文章にはできないような、面白くて不名誉なこと。そんなことばかり、思い出して、つらつらと話す。

わたしが「変なことばかり」と笑ったら、彼女はうーんと首を傾げてから、「なんかねえ、思い出してあげた方がいいような気がするんだ」と、言った。『もしも僕が何かを残せるのだとすれば、それは僕以外の誰かの中に』というのは、どこかで聞いた言葉。わたしたちには、忘れずにいることと思い出すことしかできない。

できることならば、笑顔を、優しい声を、元気な姿を焼き付けていたい。