メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

鬼頭莫宏作品のこと

鬼頭莫宏オフィシャルにて「なるたる」重版との情報。なんだかんだと読み返したくなるたびにネットカフェに通うのもいいかげんあれなので、多分今度こそ買ってしまう。

同じ主題を、かなりわかりやすいかたちで描いている「ぼくらの」を読みながらだと、「なるたる」の理解も助けられる気がする。前回の再読ではじめて、12巻の巻末に書かれた作者コメントの意味がわかったような気がした。

鬼頭氏の世界で、世界は何度でも作り直せる(もしくは数多の平行世界のうちのひとつ)ものであり、その価値は薄い。生命も同じようなもので、代替可能なものとして描かれる。反面、「なるたる」で、竜の子は、生き物の姿かたちを複製することはできても。そこに魂を込めることはできない。「ぼくらの」の「セル置き換え」理論においても、「入れ物」の複製はできるけれどそこに魂は乗らないとされている。「生命」の軽さと「魂」の重さ。生き延びる命は、死に絶えた命に対して何の優位性もない。優れているから生き残ったのではなく、同価値のものの中から生き残ったからこそ、その生存は「当然」のことではなく、生き残ったものは、死に絶えたものへの責任を負わなければならない。

再読で思ったこともうひとつ。以前はひろちゃんの悲劇とのり夫の健気さにばかり目がいっていたけど、わたし、さとみと文吾の関係性が、すごく好きだ。残忍な愛情に満ちている。