メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

Syrup 16g、NHKホール

シロップのライブを観るのは、やや久しぶりだった。

ここ3年くらいは、まれにライブを行う以外は、オリジナルアルバムの発売もなく、活動自体半休止に近い状態だったSyrup16g。「エンドロール」というツアータイトルを聴いたとき、最悪の事態を想像する人が多数だったのはしかたのないことだと思う。もし本当に最後になってしまったら、と危ぶみながらチケットをとって、「1月にアルバム発売」の報を聞き、胸を撫で下ろした。

音源としてリリースされていない曲が増えていることも、客の側に影響を及ぼしていただろうし、実際演奏する側のメンタリティとしても、苦しい部分があったのかもしれない。ここ数年のシロップのライブには、あまりすっきりしない感想を耳にする機会の方が多かったように見える。

はじめて行ったNHKホールは広くて、3階席から見下ろすステージに、ドラムセットとギターとベース。中畑さんと五十嵐さんとマキさんが、とてもきれいな三角形をつくっていた。ライトがステージを照らすたびに、なにひとつ無駄のない三角形が浮かび上がり、本当に美しかった。椅子付きの会場は窮屈で、どう振る舞っていいのか戸惑った。おそらくそういう人は少なくなかっただろうと思う。とても良い、本当に良い演奏だったから、これがスタンディングの会場だったらどれだけ楽しかっただろうと、それだけが少し残念だけれど、あのきれいな三角形は、頭上から見下ろすのでなければ見られなかっただろうから、やっぱり良かったのかな。

二度目のアンコールの途中に、この日唯一のMC。スタッフやメンバーに感謝の言葉を述べた五十嵐さんは、「シロップ16gは今年いっぱい」と一度言葉を切った。会場が息をのんだ次の瞬間、「……とはいわず、来年3月1日に、僕の大好きな日本武道館でライブをやります」と言った。みんなで最高の思い出を作りませんか、と言った。みんなが笑って、安心したように大きな拍手を送った。そこで、拍手を遮るように続けられたのは「最後にひとつ哀しいお知らせがあって、それで僕らはいったん終わりにします」という言葉だった。そして満員の客席の反応を待たず、「翌日」のイントロが鳴る。

予感はあったし、好きなバンドの解散なんてたくさん目にしてきた。とうとうやってきた瞬間は「あ、そうなんだ」と、驚くくらい冷静というか、呆気にとられていた。なのに、五十嵐さんが歌いはじめると同時に涙が出てきた。歯を食いしばったけれどどれでも止まらなかった。右の見知らぬ女の子も、左のT子ちゃんも、涙を流しながらステージを凝視していた。

子どもじゃないんだからこんなことで泣くもんかと、T子ちゃんといっぱいシロップの話をして帰った。帰り着いてひとりになって眠ろうと思ったらまたいろんなことを思い出して涙が出た。もしかしたらもうずいぶん前にシロップは終わっていたのに、今回のツアーも1月のアルバムも3月の武道館も、やさしさだけで実現しているのかもしれないなと思った。

そんなに古いファンじゃない。でも、5年とちょっと聴いた。人生で一番大きな転換を迎えたあのとき、すがりついたもののうちひとつだった。

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社長の日記でまた泣いた。