メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

永遠を背負う男|ジャネット・ウィンターソン

永遠を背負う男 世界の神話 (THE MYTHS)

永遠を背負う男 世界の神話 (THE MYTHS)

もし物語を語り続けたら、もし語る物語に終わりがなかったら、世界を抜け出す道ができるのではないか。

この作品に限らず、結局、ウィンターソンが小説を書く原動力は、これに尽きるのかもしれない。
世界32カ国共同プロジェクト「新・世界の神話」とやらの第1弾として、アトラスの神話をモチーフに書かれた小説(ちなみにhttp://www.kadokawa.co.jp/sp/200510-03/index.htmlを見ても、第2弾以降がどうなっているのかは謎)。神との戦いに破れ、罰として世界を背負うこととなった巨人アトラス。我慢強く責め苦に耐えつづけるアトラスが、その重さに疑問を抱くまで、そして重荷を「おろしてみたらどうだろう」と考えるまでの話。

小説はあくまで神話として、寓話として進められるが、ある一点でふいに現実と交わる。わたしはこの部分がとても好き。きっと、「あの話」を聞いた人の多くが、「あの犬」を救いたいと思っただろうから、物語のなかでだけでもそれが叶えられたことが、嬉しかった。