メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

タイタンの妖女|カート・ヴォネガット

皮肉も絶望も希望も優しさも、全部語り尽くされているだろうから、今さら書くこともないのかな。わたしは、文体でいうならワンセンテンスが短め、かつ平易な文章で書かれたものを好む。そして、非現実的なシチュエーションのなかリアルな感情(とりわけからっぽの気持ちやせつなさ)を描いたものが好きだ。そういった観点でいうならば、ヴォネガットの小説はかなりパーフェクトに近い。

初期の村上春樹は、ヴォネガットに強い影響を受けていたらしい、というのを最近知った。ヴォネガットはなんとなく、わたしが一番好きな日本人作家である安部公房と重なる。そして、公房と春樹の相似については語られる機会も多いし、わたしも、「ねじまき鳥クロニクル」を最初に読んだとき、これは根本的に「密会」と同じ小説だと思ったのだった。まあそんなことはどうでもいいんだけど。

タイタンの妖女」は、「スローターハウス5」より好きかも。

本を読むことの幸せが全部この一冊に詰まっているといっていいような作品。ハーモニウムとボアズのエピソードと、サロのエピソードが特に印象的だった。ハーモニウムとサロについては、もう、存在それ自体が。