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競売ナンバー49の叫び|トマス・ピンチョン

競売ナンバー49の叫び

競売ナンバー49の叫び

文章自体が複雑なわけではないので、部分部分を拾ってみればそこまで難解な印象は受けない。でも、全体をつなぎあわせてみると、つかみ所のない小説に思えてくるから不思議だ。冒頭には特に抵抗なく、モーテルのシーンと劇場のシーンはとても面白かったけれど、その先であやうく迷子になりそうになる。気分を変えて、これはリンチの映画みたいなものだと思うことにした。迷う自分を楽しんでいたら、後半の夫との再会、精神科医のエピソードのおかしいことおかしいこと。ジェットコースターみたい。言葉遊びや哲学精神学、文学を含む諸芸術への含蓄など、読み込みはじめればきりはないのだろうけど、そういうあたまでっかちな部分を抜きにしても十分面白い小説だった。

しかしやっぱり、今回の読み方ではなぞった程度。解説に目を通した上で、少し時間を置いて再読は必須だと思った。