メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

猫のゆりかご|カート・ヴォネガット

人はいかにして幸せになるか、というのがひとつの命題としてあって、物語の中では「科学」「宗教」ふたつの面からそれにアプローチしている。どちらの方法にそれぞれどういう結末が待ち受けていたか、というのは割愛するけども、書かれたのが60年代ということを考慮すると、いろいろと納得はいく。ヒッピー思想やユートピア幻想はひしひしと。

きれいな嘘と残酷な真実。物語の中では、きれいな嘘ではおよそごまかせないほどのハンディキャップを負った男だけが、現実を見据えていた。ものごとにはすべてそれ相応の対価を払わなければならないということを知っていた。猫はいないし、ゆりかごもないのだということを知っていた。

正直な話、読了後、置いてけぼり感にしばし呆然としてしまった。筋も文章も理解できるし主題がこういうことなんだろうなというのも推測はできる。でも、それらはすべて漠然としていて、自分と小説のあいだの距離が縮まらないまま読み終わってしまったような気がした。これはひとえに、作品を自分のレベルまで引き寄せて、ときに分解して、共感できる部分を探して悦に入るという、あまり褒められはしないわたしの読書方法のためなのだろう。「科学」「宗教」というツールと、その使用法と、結果について語られても、いまいちピンとこない。日を空けてもう一度チャレンジすべき一冊に加えておこう。