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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

安心毛布、安心ガーゼ

よしなし アートとかエンタメとか

テレビはあまり好きでないけど、NHKの教育チャンネルは割と観る。目的があってテレビの電源を入れることはそうないものの、ふと思い立ったときにチャンネルを合わせてみると、面白いプログラムと出会えることが少なくない(例外的に、「きょうの料理」は、後藤アナウンサーの駄洒落目当てに意識的に観る)。特に子ども向けの教養番組は、ものすごく先鋭的で実験的な作りをしていることがあって驚く。海外の科学ドキュメントあたりは、下手なSF映画よりよっぽど面白い場合もある。NHKのありかたについては思うところも多いけれど、広告料に頼らないからこそかたちにできるプログラムというのも確かにあるので、やっぱり、こういう放送局の存在自体は、簡単に否定したくはないなあ。

今日、ちょうど教育チャンネルを観ていたら、幼児番組で、ぬいぐるみが毛布(のぬいぐるみ)と歌っていた。やっぱり子どもって毛布好きだよなあなどと考えているうちに、古い記憶が蘇る。

わたしも「ライナスの毛布」を持っていたっけ。

赤ちゃん用の、顔にかかって息が苦しくならないように首周りが丸くなっている毛布には、大きくウサギの絵が描いてあった。ウサギの目は、プラスティックのボタンのようなものでできていて、赤い瞳がくるくる動くようになっていた。その毛布が好きで好きで、毛玉だらけになっても、サイズが合わず足がはみ出すようになっても、大事にしていた。そして、「ライナスの毛布」がぼろぼろになって捨てられたあとも、毛布やガーゼといった柔らかいものは、なかなか手放せなかった。

昼間は持ち歩けるガーゼ、夜は毛布を握りしめ、柔らかい布地で口の上(上唇と鼻のあいだ)をくすぐるのが、わたしの癖だった。そうしていると気持ちよくて、安心して眠くなってしまったことを今でもはっきりと覚えている。両手を自由にしたうえでその部分をくすぐるための名案なのだかわからないけれど、そのうち、毛足の長い毛布から毛をむしりとって、それを自分の鼻の穴に詰めるという奇癖にまで進化したため、家族はわたしがいつか窒息するのではないかとずいぶん気をもんだらしい。小学校2年生くらいまで、癖は治らなかった。ちなみに、口の上を刺激しているあいだ、閉じた口がミルクを吸うときのように動いていたそうなので、単に乳離れできない子どもだったということなのだと思う。今では。