メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

会えてよかった

突然、昨年度所属のボスが、食事に誘ってくださった。わたしとふたりきりでは気詰まりだと考えたのか、仲良しのTさんも一緒に。

中洲のおいしいお店で、お刺身と焼き鳥をお腹いっぱい食べた。その後、こんな若造だけではとても足を踏み入れることができないようなバーで、お酒を飲ませてもらった。伊丹十三大江健三郎の話をした。ギュンターグラスとブリキの太鼓の話をした。映画の話をして「長江エレジー」と、現在の中国をとりまく事情について話をした。ほかにももっといろいろな話をした。

「あんたはあんただから、萎縮しないで、気を遣わないで、主張してやっていけばいいんだよ。仕事は命をかける覚悟でやるものだけど、命を落とすようなものじゃないから、そこそこにやりゃあいいんだよ」

そう言えば彼は昨年わたしに、「あんたはあんたの好きなように生きればいいんだよ」と言ってくれた人だった。

今のわたしの職場内での、恐らくはずいぶんと恵まれた立ち位置があるのは間違いなく彼のおかげだし、わたしはこの一年、ここにわたしを送り込んでくれた彼の顔に泥を塗りたくない一心でやって来た。四年間仕事をしてきて心から尊敬できる上司にはほとんど出会っていないけれど、彼は数少ないうちのひとりで、昨年度一年間彼のもとで仕事をしたかしなかったかで、わたしの仕事に対する考えもずいぶん違っていたはずだ。そんな気持ちのいくらかも、わたしは伝えることができていない。

出向するわたしのために、いろいろなひとが心配をして気遣って、かつての交友関係をたどってはわたしのことを頼んでくれている。激務は覚悟している。でもわたしは大丈夫。無理せず、心も体も壊すことなく、彼らの気持ちに応えることはできるはずだし、そうでなきゃいけないんだと思う。