メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

春がやってきてしまう

すっかり春めいてあたたかいので、厚いコートを脱いで、淡い色のジャケットを着た。つま先の出る靴を履いた。それでも寒さは感じない。

異動内示で、朝から皆気もそぞろ。事情が違うわたしは先だって別に内示を受けているため、ある意味かやのそとであるのだけれど、やはりこれは年に一度のお祭りだから、他人事でもわくわくしてしまう。午後、職責が上のほうから順に、転出者が会議室に呼び入れられる。特に騒ぎになるような番狂わせもなく、あっというまに、(一応形式だからということで、既に内示済の)わたしが呼ばれる。

今の部署ではもっとも若いわたしが呼ばれるということは、イコール今期の内示はこれにておしまいということ。あまりにも順当な、ある意味意外性のないなりゆきに、みんながちょっとがっかりしたような顔で見つめてくるものだから、オチをつけられなかったわたしはなんだか申し訳ない気持ちになって、「ごめんなさい。おもしろくなくて、ごめんなさい」と周囲に頭を下げながら会議室に入った。

その後、わたしの後任が、わたしよりも幾つか年の若い女の子だということが判明し、隣のAさんが一気にテンションをあげる。当然わたしは機嫌をそこね、Aさんに「若いからってなんですか、わたしじゃ不満なんですか! 一年間、わたしじゃ満足できなかったんですか!」と猛烈に詰め寄り、周囲に「愛人じゃないんだから」とたしなめられてしまった。

本がなきゃ退屈だろうと、なぜかTさんが、学術系出版社の、性愛に関する本ばかりをおいてゆきました。せっかくなので粛々と読み進めておりますが、特にここに感想を述べるようなことはございません。本を買いたい気持ちと、今さら荷物を増やすことはできないという気持ちが、激しくせめぎあう今日この頃。