メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

美味しい児童小説

児童書に出てくる食べものにはずいぶん憧れと妄想を膨らませていたので、ペパーミントのチョコレートをはじめて食べたときには、心の底から落胆したのを覚えている(それでも姉は長いこと、チョコミントのアイスクリームが好物なのだと強がっていた)。

わたしは食いしんぼうなので、外国の児童小説の場合、特に、見たこともない食べ物に、そのシチュエーションと語感からイメージばかりが肥大した。エリザベス・ダレルの「おちゃめなふたご」シリーズに出てきたミントチョコや焼きソーセージ、アンチョビのトースト。当然誰もが憧れたであろうハイジの白パンやヤギミルク・ヤギチーズ。「赤毛のアン(これは、小説自体はわたしの趣味にまるであわないものだった)」のいちご水。くまのパディントン、ロッタちゃんが引っ越し先の屋根裏で、ままごと道具でとる食事。「長靴下のピッピ」のジンジャークッキー。

あのころからは想像もできないほど、様々な食文化が流入し、今ではかつて憧れた食べ物の多くをたやすく口にすることができる。まあ、ミントチョコレートに限らず、たいていは夢見たほどおいしいものではなかったし、わたしはふわふわの白パンよりも、ぼそぼそした黒パンと豆のスープを好むこともわかった。もっとも、慣れによる好みの変化もあるようで、甘いジャムを肉に添えるという、昔ならば顔をしかめていた食べ方を今では美味しく感じるようにもなった。あんなに苦手だった東南アジア各国の料理が今では好物だったりもする。そしてやっぱり、子どもの頃憧れた物語の世界の食べものには今でも胸がときめいてしまうから、わたしは輸入食材店が大好きなのかもしれない。

ちなみに、日本の児童小説でも食べものの描写が魅力的なものは多く、「ぐりとぐら」の大きなスポンジケーキにはいまだに憧れるし、珍しい食べ物ではないのに「いやいやえん」のりんごの山・バナナの山・モモの山なんて、わくわくしてしかたない。