メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

母と市ヶ谷と三島由紀夫

中央線の、山手線内側部分というのはわたしにとって長らく「通り過ぎるだけ」の区域だった。ところがここ最近、仕事の関係でたびたび市ヶ谷に立ち寄っている。金曜日に上司とお蕎麦を食べながらお酒を飲んでいて、市ヶ谷の話になり、そこから三島の話になった。

そういえば、わたしの母親が通っていた大学は当時市ヶ谷にあったため、三島由紀夫が割腹自殺したときは、ずいぶんな衝撃を受けたらしい。もっとも、読書というものに一切関心をもたない母が、そのときどういった類いのショックを受けたのかまでは、よくはわからない。

耽美な作風を好まないわたしに、三島の作品のうち評価の高いものの多くは馴染まなかった。けれど、彼の書く「レター教室」「不道徳教育講座」のようなエッセイ?や、「命売ります」「美しい星」に代表されるユーモア小説的な作品群はとても好き。これらの作品における自由で幅広い作風やユニークな感性と、三島の偏狭な政治思想は、ちょっとそぐわないように思えるくらいだ。