メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

郵便配達は二度ベルを鳴らす|ジェームス・ケイン

郵便配達は二度ベルを鳴らす (新潮文庫)

郵便配達は二度ベルを鳴らす (新潮文庫)

サスペンスのお手本みたいな小説。映画の方が有名なのかも。いわゆる「推理小説」ではないので、読者にはなんとなくは、先の展開が読めるようになっている(裁判の行方あたりはちょっとどんでんがえしもあったけれど)。ただそこでの緊張感の高めかたが上手い。例えば、コップに水滴を落としてゆき、表面張力いっぱいいっぱいのところまで水が溜まり、いつ溢れ出すかという緊張感。例えば、風船に息を吹き込んでゆき、いつかは割れるのは当たり前のことで、わかりきったことなのだけど、いったいいつどのタイミングで割れるのかと、耳を塞ぎ身を縮めながら息を吹きつづけるときの緊張感。

フランクは救いようのない悪党。でも、悲壮なラストシーンにはやっぱりちょっと胸が痛んだ。愛情って伝わらない。


↑ちょっと見づらいけれども、裏表紙見返し部分。これは古本屋で購入したもので、もとの所有者はなぜか、雑誌の書評を切ってのり付けしていた。こういうのは古本の面白さで、以前「ブリキの太鼓集英社文庫版をセットで購入した際には、丁寧に手書きされた登場人物相関図が挟み込まれていてずいぶん役に立ったっけ。