メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

夢のフラッシュバック

わたしたちは食事をしていて、目の前にあるのは真っ赤な色をした、東南アジアの国でよく食べられるというスープだった。「あ、」と突然彼女は声を上げて、それから思いきり顔をしかめて、お手拭きを手に取った。彼女は真っ白なスカートを履いていて、スープがそこに跳ねて、赤い染みを作ったのだった。彼女はしばらく赤い染みと格闘してから、半ば絶望的な顔で「お手洗いで、洗ってくる、とれないかもしれないけど」と言って、立ち上がった。彼女の後ろ姿を眺めながらわたしは、こんな光景をどこかで見たことがあると、必死に思い出そうとしていた。しばらく考えて、その記憶が現実ではなく、ずっと以前、もう何年も前に見た夢のことなのだと気づいた。

地下鉄のホームにわたしは立っている。隣にはランドセルを背負った小さな少女。黄色い帽子をかぶっている。軌道の彼方にぼんやりと灯りが見えて、それはあっというまに大きくなる。地下鉄が、ホームに入ろうとする。と、少女が跳んだ。ぱっと視界に真っ赤なものが飛び散る。わたしは唖然とする。そこで場面が変わり、わたしは駅ビルのトイレの、手洗い場に立っている。わたしが着ているのは真っ白なワンピースで、そこにまるで水玉模様みたいに、飛び散った血と肉がこびりついている。わたしは泣いている。泣きながら、水道の水で、なんとかワンピースの染みを洗い流そうとしている。でも、真っ赤な模様は薄くなる気配すらない。待ち合わせの時間はもうすぐなのに。

夢の中で、待ち合わせていた相手が、彼女だった。

その夢を見たのはもう、十年近く前。