メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

リトル・ミス・サンシャイン|ヴァレリー・ファリス

劇場公開時には家族もののコメディということでノーマークだったところ、友人たちがこぞって絶賛するので騙されたつもりで足を運んだ記憶がある。今回も、笑ってちょっと切なくなって、二度目の鑑賞をのんびり楽しんだ。

七歳のちょっとぽっちゃりした少女オリーヴは、ミスアメリカになるのが夢。しかし、彼女の家族には何かと問題が多い。「九段階プログラム」という独自の成功理論にのめり込む父親は、その理論の書籍化に将来を賭けているが、現在の一家は経済的に破綻寸前で夫婦仲も険悪。好色な祖父は、ヘロイン中毒で老人ホームを追い出された。空軍パイロットになることを夢見る兄は、ニーチェを信奉し、航空学校入学の夢が叶うまでは言葉を発することを禁じている。そこに、恋人をライバル学者に奪われ自殺未遂を起こしたゲイのプルースト研究者である叔父まで転がり込んでくる惨憺たる状況の中、オリーヴが繰り上げ当選で子どものミスコン「リトル・ミス・サンシャイン」州大会への出場権を得て、一家は交通費を節約するため、ぼろぼろの黄色い小型バスで会場を目指す。

家族それぞれのキャラクターもわかりやすくて、次々と、テンポ良くトラブルに見舞われるので、ロードムービーにありがちな冗長さもない。祖父の好色ぶりなどというどうでもよさそうなエピソードや、なぜあれだけ熱心に練習しているオリーブのダンスがラストまで披露されないのかなど、細かな伏線がきっちり生きてくる。家族全員に抱える問題があり、絶望があり、それらすべては解決されるわけではないけれど、彼らはそれを、おそらくは乗り越えてゆく。大袈裟でもなくきれいごとでもなく家族の快復、もしくは家族による個人の快復を描いたとてもとても素敵な、大好きな映画のひとつだ。