メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

ロゼッタ|ダルデンヌ兄弟

ロゼッタ [DVD]

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ベルギーダルデンヌ兄弟は、以前感想を書いたことのある「ある子供」の7年前に、この作品でもパルムドールを獲っている。照明もBGMもなく、手持ちカメラで淡々とひたすら人物の動きを追う撮影方法は、厳密に一致するわけではないけれど、ドグマ95を思い起こさせる。

タルデンヌ兄弟には若年層をとりまく社会問題を扱った映画が多いようで、この作品では失業問題を、「息子のまなざし」では少年犯罪、「ある子供」でも職を持たない不安定な若年カップルが子供を持ってしまったことによる悲劇を描いている。ロゼッタは冒頭で、勤め先の工場をクビになる。彼女はオートキャンプ場のトレーラーハウスで母と二人で生活しているのだが、その母は重度のアルコール中毒で、酒と引き換えに男と寝る始末だ。ロゼッタは、母親を入院させ、治療し、まっとうな暮しをはじめることだけを望んでいるが、正式な住所のない彼女は職安への登録もできず、なかなか仕事は見つからない。ようやくワッフル屋の製造に雇われるも、そこも三日で干されてしまい、追いつめられた彼女はついに職を得るため他人を陥れようとまでする。

美人でもなくスタイルがいいわけでもないヒロインが、終始不機嫌な顔で生き延びるために叫び走る。それは壮絶にして痛々しく、ときおり醜くもあるが、その姿を追うカメラにはどこかあたたかいまなざしを感じる。「ある子供」でも、取り返しのつかないことは確かにあるんだけども、彼らを見捨てずにいてくれる誰かが一人でもいる限り、まだ希望を持つことはできる。救いはなくても希望の残る映画だと思った。