メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬|トミー・リー・ジョーンズ

トミー・リー・ジョーンズ初監督作。

メキシコと国境を接するテキサス、国境警備隊員のマイクは、過失からひとりのカウボーイを射殺してしまう。死んだ男、メルキアデスが不法就労のメキシコ人であったこと、マイクが警備隊員であったことなどから、事件はそのまま葬られるはずだったが、ふとしたことから、メルキアデスの親友であるアメリカ人ピートが、射殺犯がマイクであることを知ってしまう。生前のメルキアデスが「俺が死んだら故郷のヒメネスに埋めてくれ」と言っていた、その約束を守るために、ピートは彼の遺体をメキシコに連れてゆくことに決める。そして、埋葬の旅へ、メルキアデスを殺した張本人であるマイクを無理矢理連れてゆく。

ピートの友情や誠実さは、むしろ妄執なのではないかという思いを強くし、ちょっと恐怖すら感じた。メキシコから単身アメリカに密入国し、ひとり摘発の不安に怯えるメルキアデスは孤独だったはずだ。しかし、アメリカ国籍を持ち、身分的には不安材料を持たないピートも孤独だった。だからこそ、メルキアデスの人柄に引かれると同時に、彼が故郷に残してきたという家族や風景を、まるで自分のものであるかのように大切に思うようになったのだろう。一方過失による殺人犯であるマイクは、悪意があってのことでもないのにここまでの目に遭わされて、ちょっと理不尽でかわいそうな気もするけど、場面が進むにつれてどんどんいい顔になっていったのが印象的。

コメンタリーが充実していて、その中に、マイク(バリー・ペッパー)が、メルキアデスの死体(人形)とダンスをしているオフショットがあって、もの凄く笑ってしまった。