メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

じりじりと

窓の外からじりじりと、アブラゼミの声が聞こえ目を覚ます。午前三時半。こんな時間に蝉が鳴くものかと再度耳を澄ますと音は止んでいた。夢だったのかうつつだったのか結局わからないまま、日が出る前の四時過ぎにはまた、ちらほらと鳴き声が聞こえてきた。顔も洗わず、ふらふらと家を出てみる。返却期限のDVDがあったので、それを持って薄曇りの早朝を、赤い花を眺め、小さな川沿いの柳をくぐり、歩く。ほんの短い散歩なのに汗ばんでしまい、帰宅してすぐに浴槽に湯を張った。バスルームの窓からも容赦ない蝉の声が飛び込んでくる。どうしようもないくらいに夏。

職場までの定期券を持っている都合上、日常的には電車を使うことが多い。しかし、直接乗り入れてはいないものの、わざわざターミナル駅を経由するより、徒歩やバスを利用した方が効率の良い近隣路線というのがいくつかある。この日光の下を長時間歩く事は避けたいので、最近はバスを使う。この路線のバスは空いているのでまず座れないということはない。そして、電車より涼しいし、景色がよく見える。そんなこんなで昼過ぎに出かけた。

美容院で毛先を整え、ついでにこの湿度でビューラーというものがまったく役に立たなくなってしまったまつげをどうにかしようと、二年振りにまつげパーマをかける。暑さのせいとも冷房のせいともわからないが、ここ最近肩こりがひどいので、アーユルヴェーダとかいうオイルマッサージも受けて、ずいぶん気分が良くなった。そういえば、前に通っていたマッサージでも、毎日湯船につかって鎖骨を開きなさい(鎖骨のくぼみに食い込ませるように指を入れ、左右にぐっと開くと、リンパの流れが良くなるらしい)と言われていたのに、ここのところ休日以外は湯船につかることもない。これじゃあ肩も凝るはずだと反省。美容院は二度目の店で、担当も同じ。ちゃんと言葉が通じていて、次の春が来るまでには髪を短くしようと思うんですと言ったわたしに「こんなふうに?」と差し出してきたスタイル写真は、イメージどおりのものだった。やはり、美容院はマンツーマンスタイルのところに限る。シャンプーからブロー、スタイリングまで全部してくれる人のほうが、早く深くこちらの髪の質癖好みを理解してくれる。

ところで恥ずかしながら、先日長野で眼鏡をなくして来た。ホテルに問い合わせても出てこなかったので、どこで落としたのか皆目見当がつかない。まあ、家でしか使わないからと、度も合わず、つるがぐらぐらになったものを十年も使ったのだからいいかげん潮時だろう。非常に近視と乱視の度が強いこともあり、以前は眼鏡を作るといえばたいへんな出費だった。しかし、最近は安い眼鏡を売りにするチェーン店が増え、かつてならばフレーム代にすらならなかった金額で、眼鏡が作れてしまう。当然質や耐久性は劣るのだろうけど、あくまで補助的にしか使わないので、これでいいだろうと判断した。その場でレンズを加工してくれるという触れ込みの店だったが、さすがに度が強くなると、どのレンズを選んでも作成に日がかかってしまうらしい。火曜の午後、休暇を貰ってまで眼鏡を作りに行ったわたしは「出来上がるまで十日ほどかかります」との言葉に落胆して家路についた。

今週ずっと、寝る直前までコンタクトレンズを着けている生活を強いられ、ずいぶん疲れた。その、完成十日かかると言われていた眼鏡がもうできあがったということで、取りに寄った。スタイリッシュなチタンフレームに憧れながらもレンズが厚すぎるため断念し、セルフレームでつる部分のみがチタン製のものを選んだ。今までは白黒ツートンのセルフレームで、ぱっきりとしてはいたが、ややきつい印象だったので、今回はブラウンにした。少しは柔らかい雰囲気になっているといいんだけど。