メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

告白|町田康

告白 (中公文庫)

告白 (中公文庫)

かつて仁侠映画上映後の映画館では、高倉健になりきって、肩で風を切って出てくる観客の姿が多く見られたという。どうしても途中でやめることができず、昨晩睡眠を削って読了。今朝目を覚ましたわたしの頭の中を、今もぐるぐる河内言葉が回っている。似非河内言葉でものを考え、うっかり口にまで出てきかねない調子なので危ない。これもなりきり高倉健のようなものなのだろうか。

まず特異にして稀有な言語感覚があって、奇妙で鋭い観察眼があって、それに加えて町田康にはものすごい自己解体能力があるんじゃないかと思う。多分それは本作主人公の城戸熊太郎の言う「思索癖」であり、町田氏の随筆においてくどいまでに発揮される、ひたすらの卑屈さだ。どこまでも卑屈に、自己批判をし、それによって被害者意識が生まれ、またそんな自分を足蹴にするという強烈な自家中毒があり、さらにその過程を丹念にばらばらにし、克明に書きつける。「細やかな心理描写」などという生ぬるいものではなく、それはもう脳みそを解体する勢いで。

全然うまくまとまらないし、なんだかどうでもよくなってきたんだけど、読んでよかった本当によかった。向かい合うタイプの本ではなく、飲み込まれるタイプの本。