メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

さよなら、夏の日

冷房も入れず、窓も開けず部屋で過ごすことがもはや当然になりつつある。通りすがりの洋服屋さんで、女の子がファーのベストを試着していた。わたしもそろそろ、しまいこんだブーツのことを思い出そうとしている。

夏休みを田舎で過ごすわたしたちを喜ばせるためだけに、祖父は鈴虫を飼っていた。縁側でりんりんと鳴くそれ。胡瓜や茄子を割り箸に刺しては、虫かごの中の土に突き立てた。赤蜻蛉の大群も田舎でしか見られない光景で、先週、祖父の四十九日のため田舎に帰った際は、久々に目にするであろうあの恐ろしくも美しい真っ赤な眺めをカメラにおさめてやろうと、慣れないISOやシャッタースピード調整の練習までして臨んだにも関わらず、大雨に見舞われた。当然蜻蛉など一匹もいない。

カナカナが鳴いている。秋だなあなどとしみじみしてみるが、実際のところカナカナは、6月から9月まで、夏の間ずっと鳴きつづけるらしい。そんな興ざめすること、別に知りたくはなかったのだけれども。帰り道、近くにある神社のお祭りが近いようで、歩道いっぱいに提灯が並んでいる。

夏らしい景色を何枚かお蔵出しして、今年の夏にお別れ。