メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

プレイヤー・ピアノ|カート・ヴォネガット

プレイヤー・ピアノ (ハヤカワ文庫SF)

プレイヤー・ピアノ (ハヤカワ文庫SF)

お手本みたいなアンチユートピア小説をヴォネガット仕立てにした作品なんだけど、「機械化社会とそれに疑問を呈する人間」というよりはもっと根源的な「人とは、革命とは、社会とは」みたいな主題が強く感じられて、SF適性の高くないわたしにも入り込みやすかった。それぞれの人物について細やかに書き込まれていて、それがまったくひねくれていない、素直というか「社会における、まさしく類型的な人物造形」。人物にもストーリーにも複雑性は一切ない。

革命首謀者となる四人の男の人物造形が秀逸。それぞれが腹の中でクーデターに対して抱いていた気持ち、目的は、実はてんでばらばらなんだけど、まさしく革命を起こすのってこういう人たちなんだろうなと思う。彼らの中に、唯一足りないのは「自ら金銭欲権力欲を満たすため」という人物像で、それ以外はすべての要件が揃っているのでは。理想主義者だけが挫折感を味わうというのはいかにもヴォネガットらしい皮肉だなと思いながら、読後感はなぜか爽快だった。

今週は、ウィークデイだけで3冊読めた。金曜日のお昼休みに「プレイヤー・ピアノ」を読み終えたので、帰りにブックファーストに寄る。平日とは思えぬにぎわいに、店舗に入ったときからおかしいなとは思っていたのだけども、本屋のレジは信じられない人の列。ああ、「ルミネカード10%オフ」の期間なのね、と長蛇の列に負けそのまま帰宅。素直にジュンク堂に行けば良かった。