メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

テラビシアにかける橋

テラビシアにかける橋 [DVD]

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「どんな鳥だって想像力より高く飛ぶことはできないだろう」と書いたのは寺山修司だった。夏目漱石の「三四郎」のなかには、「広田先生は「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」でちょっと切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と言った。」という一節がある。では、それだけ自由な、広く、どこまでも飛べる想像力は、どこから生まれるんだろう。考えると、どうしてもそれら源泉は、不自由であり孤独であるのではないか、と思ってしまう。

絵を描くことだけに楽しみを見いだす孤独な少年ジェスが、転校生の少女レスリーと出会い、森の中にふたりだけの王国を作ろうとする。子どもたちを愛しながらも、経済的な余裕のなさからおおらかに育ててやることのできないジェスの両親が抱える葛藤。学校では暴君のように君臨するいじめっ子の、影の部分。強く明るいレスリーもまた寂しさを抱えている。子どもたちには子どもたちの孤独があり、大人たちには大人たちの苦しみがある。それらを容赦なく、でもあたたかく繊細に映しているので、最後30分はずっと涙が止まらなかったのだけど、最終的には優しく満たされた気分で見終えることができた。ただし、あまりファンタジー要素は強くないので、そっちの方面を期待して観るとがっかりしてしまうかもしれない。ボーイ・ミーツ・ガールものが好きな方は是非!

ジェス役の男の子の、繊細な雰囲気は「リリィ・シュシュのすべて」の市原隼人を思い出させる。ヒロインのレスリーは華奢でしなやかで、笑顔が魅力的なファニーフェイス。これもまたキャラクターにぴったりだった。そして何よりジェスの妹メイベル役の子役が、本当にかわいらしくて演技も上手。そして、音楽の先生を演じた、ズーイー・デシャネルがきれいで魅力的だったのも印象的だ。彼女の名前「ズーイー」は、サリンジャーの「フラニーとゾーイー」からとったというのを、この映画の公式サイトで知って、ますます素敵だと思ってしまった。