メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

僕らのミライへ逆回転|ミシェル・ゴンドリー

楽しみにしていた本作。もともと「ビデオ店店員が、苦し紛れに人気作品を手作りリメイクをする」、そのデタラメさと馬鹿馬鹿しさに期待して行って、確かにその部分での期待はまったく裏切らず、映画館でもみんな爆笑していた。でも、その「自分たちで映画を作る」ことが、街の人を巻き込むに至って、ただの笑いでは収まらなくなってしまう。予告編で、ジャック・ブラックロボコップの扮装をしているだけでおかしくて、これはとことん笑える映画に違いないと思って気を抜いていたら、やられた。

舞台であるさえない都市は再開発の真っ最中。そのために立ち退きを求められているビデオショップや、DVDにおされてすっかり時代遅れになりかかっているVHSなど「古いものと新しいもの」のメタファーがいろんなかたちで現れる。この映画はそういった古いものや、今までに作られて来たあまたの映画たちへの賞賛である。そして、映画というのが人を幸せにするものだということ、人々が自分たちの住む街に愛と誇りを取り戻すということを明快に描いていた。ある意味で「ニューシネマ・パラダイス」に近い作品なのかもしれないけれど、こういったテーマを現代、今わたしたちの暮らす時間を舞台に描いてしまったというのはかなりすごいことなんじゃないかと思う。ちなみに、なんの技術も設備もない中、街の人々が工夫を凝らして楽しそうに映画を作るシーンは、ぼろぼろに泣きっぱなし。

今までベタだ陳腐だとゴンドリーに対してあまりいい感想を書かずにきたんだけど、今回はそのベタさがいい方向に出ていたと思う。ただのエンタメとしても面白くて、映画好きならきっと泣けてしまう。よかったよーゴンドリー!