メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

嫌いだった

わたしはずっと、自分の生まれ育った街が嫌いだった。

親密と言えば聞こえがいいけれどその実密室に閉じ込められているようなべとべとした人間関係も、汚い言葉遣いも、貧弱な交通商業文化も、何もかもが嫌いだった。

でも今になってみれば、あのころのわたしが憎んでいたのは「あの場所」ではなく「あの場所にいる自分」だ。何度か住む場所を変え、どこへ逃げたところで、自分が変わらない限り居場所なんて見つからないのだと知った。そして、最初にあの街を逃げ出してから十年が経ち、距離を置くことでようやくわたしは自分の故郷を美しい場所だと思えるようになってきた。

遊ぶ場所もないのか、鳥取駅のあたりでは、ベンチや段差にたくさんの若い子たちが座り込んで、はしゃいでいた。この子たちは、自分の住む街のことをどう思ってるんだろうと、考えてしまう。