メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

眠れ|ヴィクトール・ペレーヴィン

ずいぶん長くかかって読み終えたロシアのSF短編集。難解、というよりは単純に読みにくかったのかな。あと、SFといってダイレクトにイメージするものとはちょっと違う作品が多かったような気がする。わたしはロシアのSFというのを読むのがはじめてだったので、この人が異端なのか、それともロシアではこういうタイプが主流なのか、よくわからない。

ゲーム世界と現実を融合させた「ゴスプランの王子さま」あたりは割とSF要素が強かったけども、わたしが素晴らしいと思ったのはどちらかといえば文芸寄りの「世捨て男と六本指」「ヴェーラ・パーヴロヴナの九番目の夢」「青い火影」。とりわけ「世捨て男と六本指」は10月6日の日記でも引用し、その後何度か読み返した。収録作品の多くから多少の差こそあれ反社会主義の空気は見てとれ、「世捨て男〜」でもその傾向は色濃い。達観したような「世捨て男」と、指の本数が多い故にコミュニティを排除された「六本指」は、奇妙な道中の果てに世界の外へと向かう。当初、コミュニティからはじきだされたことにひたすら怯えている無知な「六本指」と、彼に世界の真実を説こうとする「世捨て男」の問答。その後、思考をどんどん深めてゆく「六本指」の独白や、愛し合いながら道を違える「世捨て男」と「一つ眼」の会話、どれもこれもが心に引っかかってゆく。脱出への明確な意志、というのはほぼすべての作品に共通していて、こういう閉塞感から飛び出す想像力っていうのは。やっぱり土地柄政治柄なんだろうな。