メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

真木栗の穴

所用で高崎へ行き、空いた時間に映画を観た。シネマテークたかさきというのは、NPO主催のミニシアター。「たかさき映画祭」というイベントもあるらしく、映画で町おこし的なことがおこなわれているのかな? 特にミニシアター系の作品というのは上映が大都市に限られることが多いので、小さなスクリーンではあっても映画館で観る機会を得られるというのはその地方の映画ファンには喜ばしいことだろう。最近は、尾道に映画館をつくった女性の話なども耳にして、これらの動きは好ましいことだし、商業主義ではない分いろんな面で緩やかではあるのだろうけども、やはり赤字がかさむと難しい部分は出てくるのだろう。この「シネマテークたかさき」も、客の入り自体は決して多いとは言えない。ここからなら一時間で新宿に出られるから、東京で観ちゃうという人もいるのかも。

時間がちょうど合った+西島秀俊主演ということで観たこの映画は、西島さん演じる売れない小説家が、部屋の壁の穴から覗いた隣室の光景をもとに作品を書いてゆくうちに現実と虚構が交錯してゆくというあらすじ。前半は「箱男」的な世界で、このままいくのかなあと思っていたらいきなり和製ホラーになってしまう流れにちょっと驚いた。ぼろアパートに官能小説、置き薬屋や安定食屋、コインランドリーや周囲の風景含め、これでもかっていうくらいしっとりとした和製ホラー的設定目白押しで、これをはまっているととるか安易ととるかは微妙なラインだなあ。若い事業家の住んでいるのも、高級マンションじゃなく、瀟洒な住宅街の「家政婦は見た」みたいな一戸建て。日本のマイナー系低予算映画には、バランスが悪いものが多いような気がする。出来が悪いのではなく、なにかひとつかふたつ突出した部分があって、そこだけが重さを持ちすぎてしまうバランスの悪さ。この作品でも、過剰なまでにディティールにこだわる部分があちこちに見られる反面、そこに力が入りすぎて流れがいびつになってしまう。

西島さんは相変わらず良かったし、お風呂に誘ってくるおばさんのエピソードや、置き薬営業マンのキャラクター設定なんかも面白かった。そして○○オチというのが個人的に好きなので、観終わった感じはそんなに悪くなかった。個人的に一番残念なのは、この映画のファムファタールといえる隣室の女性。謎とエロスに満ちた薄幸の美女という設定だったようなのですが、いかんせんあれです。設定とキャスティングがミスマッチでした。なんか、寝間着にカーラー巻いたままゴミ出しに行く団地妻風の顔立ちなんだよなあ。