読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

「20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代」

Bunkamuraにて。マティスにはじまり、シャガールピカソマグリット、クレーと、そうそうたる顔ぶれが並んでいて、とてもお得な展覧会だと思う。ベックマンの悪夢みたいな絵と、シャガールの、頭の上にちっちゃい自分がのっかってる絵がすごく良かった。実質のメインであるクレーは後半の展示ほとんどを占めていた。くすんだ暖かい色遣いの絵が続いて、おしまいに「助けを呼ぶ声」と「踊りの場面」を持ってくるその展示順は、これはけっこう凄い破壊力で、最後の最後で思いきり頭を殴られたような、手足撃ち抜かれるような。そんな気分を引きずったまま寒々しい渋谷を歩き、MacBookを買って帰った。

10年前のわたしと今のわたしを比べたら、当然ながら10年の分だけ、読んだ本も観た映画も聴いた音楽も増えたはずなのに、何かを一つ知ると、その百倍千倍の知らないことがついてくる。不思議の国のアリスのように、わたしはどんどん小さくなって、世界はどんどん大きくなって。途方のない世界の前で、わたしはなすすべもなく立ちすくんでしまう。

わたしは何ひとつ知らない。ということはとても素敵なことのようでもあるし、死ぬほどおそろしくもある。