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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

「進める荒井良二のいろいろ展」を見る

世田谷文学館ではじまった「進める荒井良二のいろいろ展」へ。

荒井良二さんは、「ぼくのキュートナ」というかわいい本で出会って以来大好きなので、この展覧会もとても楽しみにしていた。芦花公園駅からほど近い世田谷文学館は、こじんまりとした感じの良い建物だ。展覧会は「たいようオルガン」「えほんのこども」の原画から、触って遊べる造形作品、初期の仕事で「anan」「Hanako」に描いたイラストや、荒井さんが直接世田谷文学館に通って作成したという大判のパネルまで、決して広くないスペースなのに、非常に充実していた。

雑誌のコーナーで、絵は荒井さんの絵なんだけど、載っているのはやっぱり「Hanako」なので、隣に「オトコをあごで使って、ふたりで食べる」などというおそろしいコピーが踊っていたりするのはいっそシュールだった。初日は、お昼からミニコンサート付き鑑賞券が販売される関係で(ファンの方はそれを狙っているのか)わたしの行った午前中はお客さんも少なく、のんびりゆっくり観ることができて、本当に良かった。学芸員さんも優しくて、いろいろと教えてくれた。印刷されたものとは全然質感が違って、改めて原画ってすごいなと感じた。あの場にいると、心がふわーっと持ち上げられるような感じがする。会期がけっこう長いので、もう一度足を運ぶつもり。図録の予約も忘れちゃったし。

はいけい ぼくのキュートナ
はやく ふゆ こないかなあ ってきみがいうので ぼくは あついのが いいなあっていったよね。 いろを いっぱい かさねて かさねて むしになったみたいで だいすきなのよ ポカポかで。 ふうん そうなんだ むしなんだカラフルな。ね。なんだか ぼくも ふゆがくるの ちょっとたのしみになったよ。
むしのぼく。むしのきみ。
じゃ また。
(「ぼくのキュートナ」より)

二階の常設展は、世田谷にゆかりある作家のあれこれを展示している。ほんの短期間しか住んでいなかった作家もとりあげているので、世田谷のイメージのない人の名前を見つけたりもして面白い。直筆原稿の複製はとりわけ興味深くて、なかでも小栗虫太郎の原稿は、字がすごく素敵だった。江戸川乱歩は達筆すぎて?読めない。ワープロ以降の作家は、筆跡や原稿用紙の使い方で人柄をかいま見るということができないので、ちょっとつまらない。寺山修司天井桟敷」のパネルで「劇に使うネズミを100匹蛍光ピンクに染めたらすべて即死した」というのには、動物愛護の方には不謹慎だと叱られそうだけど、笑ってしまった。あと、場違いな大きなぬいぐるみが見えて、遠くからでも「ああ、あのあたりに森茉莉が……」とわかってしまうのも面白かった。特設展示の入場料600円で、この常設展も見られてしまうのはすごい!

 
 

高円寺の紙雑貨屋さんで、ノートやマスキングテープなど買って帰る。友人から内祝いが届いていて、マリアージュ・フレールのいい香りのするお茶だったのでとても嬉しかった。買ったばかりの荒井良二さんのポストカードで、お礼を書いた。

今日は「被写界深度」という言葉を覚えた。あと、オスライオンのたてがみのようなものだと思っていたレンズフードにちゃんと機能的な意味があるのだと知ったので、つけてみた。