メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

隅っこ愛好家

わたしが隅っこをこよなく愛していることについてはここにも何度か書いたことがある。角にすっぽりはまり込むのが好きで、壁際が好きで、田舎の重い布団に頭までもぐってずっしりとした圧迫感に息をひそめるのが好き。ライブハウスなどでは(体力がないせいもあるんだけど)ステージが見えるか否かよりも、くっつける壁もしくは柱があるかどうかでポジショニングする。ベッドは必ず壁側に寄せ、ほとんど壁にへばりつくような体勢で眠るので、スモールサイズでもスペースが余る。かつて飼っていた犬は、買って上げた犬小屋には入らず、いつも植木鉢の中でとぐろを巻いて寝ていたが、わたしには彼の気持ちが少しわかるような気がする。

「隅っこ好き」と関連するのか判らないが、廊下を歩くときついついドアに近い側を、壁に寄り添うように歩いてしまう。なんにせよ、そんなところを歩いていると、ドアの向こうから出てきた人とよくぶつかる。角を曲がるときなど、壁にくっついて歩いているので見通しが悪く、ことさら人にぶつかる。これはとても危ないし迷惑なことなので、いけないな、気をつけなきゃ、といつも自分に言い聞かせている。にも関わらず、どうしてもわたしは壁伝いに歩いてしまうのだ。もしかしたら最短距離で移動したいという無精が深層意識にあるのかもしれない。

ある日、キャビネットで死角のできる「ぶつかりやすいポイント」で、やはりわたしはKさんと衝突しそうになった。Kさんはにやりと笑って「またインを攻めてる」と言った。そうか、ついつい内回りを選んでしまうのはレーサーの血が騒ぐからなのね、と思ったりすることは決してないが、悪習はなかなか改まることなく、わたしは今日も強気にインを攻め、ぶつかりかけた相手に向かい、弱気にぺこぺこ頭を下げる。