メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

バーン・アフター・リーディング|ジョエル&イーサン・コーエン

読んだら燃やせ! というタイトルのコーエン兄弟新作は、仲良しメンバーで楽しく作ったんだろうなあという感じが画面からも伝わってくる、ナンセンスコメディ。

つい最近「チェンジリング」で正義感にあふれる神父役を凛々しく演じたジョン・マルコヴィッチはアル中でCIAを首になった情けない男だし、「ベンジャミン・バトン」の熱演が記憶に新しいブラピは完全なる親愛なる馬鹿になりきっている(ティルダのクールな演技も、ヘンテコさに拍車をかけていてよかった)。短期間にこの触れ幅を見せられると、役者って凄いなあと感服してしまう。壮々たるキャストがみんなしてバカバカしいやりとりを繰り広げる中でも、ブラピと、フランシス・マクドーマンドのキレっぷりは際立っていて、このふたりのシーンはくだらなさすぎていとおしく思える反面、苛立ちすら感じる始末。まさかフランシス・マクドーマンドがこんな演技をするとは思ってもみなかった。

「この事件からは学んだことは?」「何もありません」という最後のやりとりに象徴される、からっぽさがこの映画の本質だったのかな。でも、些細な欲望が雪だるま式に肥大し、奈落へ転がり落ちていく流れはいつもどおり、コーエン作品のぶれないところ。そして、エンディングテーマの「CIAマン」という最高にバカバカしい歌のとおり、「小市民が漠然と、権力に対して抱いている得体の知れない不安、万能感」みたいなところのカリカチュア的な映画でもあって、とても面白かった。