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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

赤ちゃんがやってきた ヤァ!ヤァ!ヤァ!

あと一時間ほど後にSがご子息ハルくんを連れて、はるばる東京の反対側から我が家にやってくることになっている。生後3日、初授乳中に対面して以来、6ヶ月で赤ちゃんがどのくらい大きくなるのかわたしには見当がつかない。

わたしは親族ベビーブームのラストに生まれた、「親類のなかでも末っ子」であるのであまり赤ちゃんと触れ合った記憶はない。わたしも姉もいまだ結婚すらしていないので当然実家にも赤ちゃんはおらず、「赤ちゃん日照り」の実家にまかり間違って子連れのお客が来ようものなら、母親は食べてしまいそうな勢いで可愛がる。そんな子ども慣れしていないわたしなので、数日前からそわそわと「何準備すればいい? 電車大丈夫なの?」と落ち着かない。一方のSは「乳腺炎と子どものアレルギーがあるから食べるものは準備しないでいいし、子どもはわたしの乳があれば大丈夫。できれば麦茶とバスタオル二枚あればありがたい。あと、汚れてもいい服で待ってて」と至って落ち着いたもの。よって、朝からそわそわと、お茶やタオルの準備をして、あっという間にこの時間。恋人を家にはじめて招くときより緊張しているのではないかと思われます。

(以下結果報告)
アドバイス通り汚れてもいい服装で、ほとんどすっぴんでスタンバイしていたところ、なんと駅までご主人も一緒に来るのだと言う。こんな格好で会うのは申し訳ないなあと思いつつ、なぜか駅の近くで記念撮影までしてしまった。

半年のあいだに体重が倍以上に増え、顔立ちもはっきりして、何より首が据わっているので抱っこするのにあまり怖がらないで済む。ほんの三時間ほどの滞在だったけれど、一瞬一瞬でころころ機嫌がかわる様も、小さいのにちゃんとついている爪も、何もかも当たり前なのになんとなく不思議。それが友人の子どもだということも不思議。ちょうど一年前のこの時期にも彼女と会っていて、あのときはお腹の中にいたのに、今こんなにころころして、目の前で泣いたり笑ったり寝返りうったりしているんだもん。

まず「手」が自分の一部だと認識して、背中がかゆいときにそこに手を伸ばすようになり、「今はね、足が自分の一部なんだっていうことを、認識しかかってるとことかな」。「ふくろうくん」という絵本のなかで、夜ベッドに入った「ふくろうくん」が、毛布が膨らんで二つの山のようになった「こんもりくん」を見つける。「こんもりくん」が気になって毛布をはぐってみるけども、そこには誰もいない。不安になる「ふくろうくん」だけども、実は「こんもりくん」はシーツで覆われた「ふくろうくん」の足だった、というオチ。

ハルくんは、もう昨日のことだっていくらか覚えていられるようになって、嘘泣きもちょっとして、寝返りをうって飲んだミルクを吐き出したらすぐにママが飛んでくることも知っている。楽しいのかまねをしているのかわからないけれど、正面から見つめてにーっと笑ったら、同じように笑い返してくるから、やっぱり、赤ちゃんにはたくさん笑いかけた方がいいんだろうなと思った。

「どんな彼女連れてくるんだろうねえ」とSがぽつりと呟く。

ふくろうくん (ミセスこどもの本)

ふくろうくん (ミセスこどもの本)