メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

ウェディング・ベルを鳴らせ!エミール・クストリッツァ

もう本当に良かった! 楽しかった! 素敵だった!

ボスニアの山村で暮らす祖父と孫。祖父は自分が亡き後の孫ツァーネの暮らしを心配し、彼に一頭の牛を託し3つの宿題を出す。街に行き、牛を売ったお金でイコンを買うこと。お土産を買うこと。そして、嫁を連れ帰ること。かくして少年ツァーネのお嫁さん探しがはじまるのだが、そこに「ボスニア世界貿易センタービルを建てる」ことを目論むマフィアの一団や、祖父の親友の孫である奇妙な兄弟が絡み、話はハチャメチャになってゆく。

全編にぎやかなジプシー・ミュージックの流れるコメディで、故郷の村ののどかな雰囲気に、「ロケット男」や「撃たれてもなぜか死なないトリフンの孫」といったファンタジックで暗喩的なキャラクター、派手にぶっ放される銃器や妙な機械の数々があいまって、今まで観たことのない独特の空気感を感じる。ハッピーで、おかしくてで、エロ要素もあり(売春宿の他にも、さりげなく獣姦がにおわされたり、牛の去勢シーンがあったりと、さっぱりとどぎついシーン多数)大人向けのおとぎ話といったところ。

ほんの脇役でさえキャラが立っていて、特にヒロインの家のお向かいに住む、若干覗き趣味のありそうなおばあちゃんはすごく良かった。暴力描写はかなり多めなんだけど、それで人が死ぬ訳でもなくひたすらコミカル。また、そういった場面に絡んで、二次大戦や内戦を経てのボスニアを皮肉っているような台詞もところどころ見られるものの、押し付けがましくない描き方になっているのも良かった。陳腐な感想ではあるけども、おじいちゃんっていいなあと思い、真っすぐな恋っていいなと思ったこと。あと、ツァーネとヤスナがボスニア語だかクロアチア語だかの字幕付きの「タクシー・ドライバー」を観ている場面のせいで久々に「タクシー・ドライバー」を見返したくなったこと。マフィアのボスの、鶏に欲情する変態役の人が、どこかで観たことあるなあと思ったら「クリミナル・ラヴァーズ」でやっぱり変態の役をしていたこと。等々。