メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

人生に乾杯!

ハンガリー映画。わずかな年金で生活をまかないきれず、経済的に困窮している夫婦。ある日借金取りが夫の蔵書を差し押さえようとし、見かねた妻は大切にしているダイヤモンドのイヤリングを代わりに差し出てしまった。思い出の品であるイヤリングを手放させてしまったことに心を痛めた夫はなんと、空砲しか入っていないトカレフ片手に郵便局へ強盗に押し入る。かくして、老夫婦は愛車チャイカで警察の追っ手を振り切りながら、行く先々で強盗を繰り返しての逃避行をはじめる。

81歳と70歳の「ボニー&クライド」であり、「ノッキン・オン・ヘヴンズドア」(特に、暢気でユーモラスな強盗描写や頼りない警官、ラストあたりのあるシーンなど、「ノッキン・オン〜」との共通点は多い)。また、老夫婦が再び恋に落ちる話でもあるし、かつて共産党の運転手を務めていた夫が大切にしている愛車チャイカ(旧ソ連の要人用リムジン)をキーとして使うあたりは、「グラン・トリノ」あたりの精神性と通じるものも感じて、ぐっとくる。

カメラワークやカット割り、音楽や筋書きにも、並外れて優れたところや斬新なところはないのだけれど、特別な部分がないからこそ、笑って泣いて、またニヤッとして終われるこの映画の余韻が、とりわけあたたかく爽やかなものになったのかな。何十年もの時間を過ごし、再び恋に落ちる夫婦を追うのは、男の浮気により別れの危機に瀕した恋人同士の警察官だったりして、そういうベタな設定も何もかも、とても微笑ましくて楽しい映画だった。そして何はさておき夫婦の出会いのシーンが、2パートに分けて挿入される、その部分の(毎度こればっかしつこくてすみません)ボーイ・ミーツ・ガールっぷりが何より素晴らしい。

映画といえば、鬼頭莫宏さん(「ぼくらの」が完結してしまった!)が1体使徒のデザインをしていると聞いて、エヴァ観に行きたいなーとちょっと思っているところ。しかし、テレビ放映時、パイロットの少年少女とわたしはそんなに年齢が変わらなかったはずなのに、気づけばミサトさんより年上になってしまっていて、これだけロングスパンで変わらぬ影響力を誇り続けるエヴァのすごさには、しみじみ驚かされる。