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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

まとめて駆け足読書メモ

本のはなし

狂人日記 他二篇 (岩波文庫 赤 605-1)

狂人日記 他二篇 (岩波文庫 赤 605-1)

卑小な木っ端役人の描写については、ロシア小説には他の追随を許さないところがある。これは、帝政から社会主義、いまだに続く独裁主義的社会へと、ひたすら押しつぶされてきた経緯にもよるのだろうし、過酷な気候条件にもよるのかもしれない。例えば暖かく穏やかな南国なんかだと、ここまで内向きに鬱屈した、卑屈で狭量な人間にはならないような気がする。そして、ばかばかしいほど器が小さくクレイジーな(ある意味くそ真面目な)小市民あってこそ、ゴーゴリブルガーコフの小説って面白いんだろうなあ。

すばらしい新世界 (講談社文庫)

すばらしい新世界 (講談社文庫)

人工授精で完全なる人口管理、産まれたときから階級別の思想を刷り込まれ、誰も疑問も不満も抱かず社会に与えられた役割を果たしてゆくすばらしき新世界、だが果たして、というアンチユートピア小説。アンチユートピア社会主義批判文明批判というよりは、むしろ人間それ自体への批判というか自戒、自虐を強く感じて、読み終えたときはすごく暗い気分になってしまった。ディテールは面白いんだけど、いかんせん落ち込みすぎる。

ビッグ・サーの南軍将軍 (河出文庫)

ビッグ・サーの南軍将軍 (河出文庫)

10年ぶりに読み返した! ブローティガンで一番キャラが立ってるのは間違いなくこれだよなあ、まさしく読まずに死ねるかな一冊。主人公の駄目コンビ、リー・メロン&ジェシーから、「金持ちのおかま」まで、メインも脇役もだれひとりとして隙がない(というかむしろ隙だらけというべきか)。笑って呆れてちょっとしんみり。そしてうっかり帰りにキャンベルのスープを買って来てしまう夜。

12歳の大人計画―課外授業ようこそ先輩

12歳の大人計画―課外授業ようこそ先輩

「○歳の〜」と、主に中学生に、社会についての啓発をおこなう類いの本は山のように出ているが、読んだ中ではこれが圧倒的に素晴らしい(松尾さんが離婚してしまった今読むと、ちょっとしんどく思えてしまう部分もあったけど)。というか他は基本的に「○歳」の読書に耐えるような代物ではなかったように思う。NHKのテレビ番組の書籍化されたものだけども、こういう番組を作ってくれるならば受信料は惜しくない。

13歳は二度あるか―「現在を生きる自分」を考える

13歳は二度あるか―「現在を生きる自分」を考える

多分ほとんどの13歳はこれを読み通すことはできないと思う。内容が難しいだろうし、面白くも感じないんじゃないだろうか。実際に少年時代に戦争を体験した世代として、ご本人の主義主張は仕方ないとはいえ、ある部分で思想が過激なまでに偏っているのが気になった。ただし、社会的な役割を自身と切り分けて考えろ、という部分を筆頭に、すごくいいことも書いていらっしゃるので、どちらかといえば親御さんや先生がこの本を読んで、良さそうな部分を子どもと話すときのネタにするような使い方が望ましいんじゃないかなあと思った。