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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

あの日、欲望の大地で|ギジェルモ・アリアガ

映画のはなし

みなさんおっしゃってるけども、邦題がソープオペラ風なのが残念。主人公シルヴィアの現在と過去、そして、少女マリアの暮らすメキシコでのシーンが少しずつ組み合わされ、エンディングに向かうにつれ全貌が明らかになっていくという構成。この手の映画は、謎解き的な楽しみをされる方もいるので、なかなか内容に触れられないので感想を書くのは難しいんだけど。丁寧な感情描写も、美しいアメリカとメキシコの風景も、とてもよかった。確かに「不倫」が話のキーにはなっている。けれど、下世話な意味での「欲望」ではなく、配偶者以外の相手を求めるに至った女性には、それなりの経緯も哀しみもあり、また妻を失った夫にも、どうしようもない苦しみがあった。当然彼らの子どもたちにも。

ギジェルモ・アリアガの書いた作品を全部観たわけではないんだけど、わたしの知る限り、彼は性善説に立って物語を作る。だから、登場人物ひとりひとりの心情や哀しみにきちんと寄り添って、とても優しい物語ができあがる。そういうところがとてもいいと思う。メキシコ人を優しく描くところも好きだ。今回、さりげなくも重要な役どころを演じたメキシコ人俳優ホセ・マリア・ヤスピク氏。彼のたたずまいがとても良かったので他の出演作も観てみたいなあ。