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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

ライアン・ラーキン路上に咲いたアニメーション

アウトサイダー的なアーティストであるアニメーター、ライアン・ラーキンについてのフィルム。ライアン・ラーキンはカナダのアニメーターで、製作の仕事をはじめてすぐに才能が認められ、アカデミー賞のノミネートも受ける。しかし、製作環境への不安やプレッシャー、生育環境等からくるメンタルの弱さ、コカインへの傾倒などにより、彼はほんの数本のフィルムを残し、アニメ制作の現場から姿を消してしまったラーキンは、人々から小銭を集め暮らす路上生活者となった。

クリス・ランドレスのアニメ作品「ライアン」(ライアン・ラーキンをテーマにしたもの)に、ライアンのインタビュー映像、彼の作った短編アニメに、死後彼の友人の協力で完成された遺作など詰め込めるだけ詰め込んで40分程度。

映画は、画が使えて言葉がつかえて音楽も使えて、時間の流れも使えるという意味で、ずいぶん多くのチャンネルを持つ表現手段だと思う。それでさらに「実写」という枠すら取り払えるのだから、アニメーションというのはまさしく自由とイマジネーションそのもの。自在に色とかたちを変えてゆくオブジェクトと音楽はとても気持ちがいい。ライアンの作品はどれも身体性を強く感じさせるアニメーションで、その中でもやっぱり「ウォーキング」は突出している。こういう観察眼とイマジネーションを持った天性のアーティストが、何十年も作品を作らず路上で暮らすというのはどんな感じなのだろう(似顔絵描きなんかはやっていたようだけど)。でも、作品として表出しないだけで、彼の目は人間や世界を捕え、彼の頭の中ではさまざまな思考がうずまいていたんじゃあないだろうか。そういう意味ではラーキンの手で最後まで作り上げられた「スペア・チェンジ小銭を」を観てみたかった。冒頭「俺に晴天の話をするな」のくだりには、鳥肌が立った。