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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

母なる証明|ボン・ジュノ

恐ろしいほどの濃さを持った映画で、とにかくすべてがtoo much。設定が濃い、演技が濃い、演出が濃い、展開も、これでもかというくらいにどんよりと、じっとりと、濃密な重さ暗さに満ちている。非常にドラマティックで情熱的なものを好むのも、過度にエモーショナルなのも、韓国らしいといえば韓国らしい。皆がオーバーに叫び、泣く。血は流れるし歯は折れて吹っ飛ぶ。重々しいシーンでは必ずといっていいほど激しい雨が叩き付け、少女が笑うのは露出過多の白くきらきらした画面。後になって振り返り、よくよくひとつひとつを切り離してみると、やりすぎだと思えなくもないんだけど、実際観ている最中はそんな斜に構えている余裕はないのだ。画面の中にのめり込んで、呼吸することすら忘れそうになる。

母と息子の親子愛の物語、などという美しいものでは決してなかったと思う。もっとどろどろした、因果や業といったものを見せつけられ、打ちのめされてしまう。打ちのめされながらも、それでもやっぱり母子の姿はどこかまぶしい。面白いのがこの映画、主人公であるテジュンの母親以外に「母親」が出てこないんだよね。誰もが彼女を「母さん」と呼び、彼らは皆、行き過ぎた愛情に戸惑いながらも、それをうらやんでいるようにも思える。だから、決して美しくないし、愛なのかもよくわからない母と息子の姿に、わたしもうらやましさを感じてしまったのかもしれない。