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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

フローズン・リバー|コートニー・ハント

クリスマスを前に、新居の購入費用ごと夫に蒸発され途方に暮れる白人女性レミ。彼女は老朽化してこれ以上住み続けることのできないトレーラーハウスで、ふたりの息子と暮らしている。1ドルショップのパートである彼女の腕ひとつで生活の見通しは立たない。一方、居留地に暮らすモホーク族女性ライラは、事故で夫を亡くし、生活力がないことを理由に義母に1歳の息子を取り上げられてしまう。彼女たちはどちらも、愛する息子を守るために金を必要としている。そして、ひょんなことから出会ったふたりの母は、国境にまたがる居留地が一種の治外法権的な状況にあることを利用し、カナダからアメリカへ不法移民を運ぶ闇の仕事に手を染めてゆく。

これぞインデペンデント! と言いたくなる、派手さのないしみじみといい映画。真っ白く凍り付いたセントローレンス川を車で渡るシーンの美しさは「ファーゴ」を思い起こさせる。移民問題、DVや母子家庭、アメリカにおける原住民との関わり、貧困と少年犯罪など、さまざまな問題を内包して、非常に緊張感あふれるストーリー展開ではありながらも、母が子を思う気持ち、子が親を思う気持ち、兄が弟を守ろうとする気持ちや、部族内のつながり、さらには人種を越えた母性同士の共感など、人と人のつながりが編み目のように張り巡らされ、全編に温かい空気が流れている。女性監督ならではのやわらかさと、女性監督らしからぬハードな部分が両方感じられて、これからの作品もとても楽しみ。この作品にしろ、昨年同じくシネマライズで観たボン・ジュノの「母なる証明」にしろ、どれも「母と息子」という組み合わせばかりなのは興味深いところ。「母と娘」だとまたちょっと切り口が違っちゃうんだろうな。